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会場の地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)セミナースペースに約50名の参加者が集まりました。
主催側から、加藤賢三(環境パートナーシップちばアドバイザー)が開会挨拶を行い、司会は、星野智子(一般社団法人環境パートナーシップ会議副代表理事)が務めました。
今回は、屋久島の世界自然遺産登録20周年を記念し、生物多様性など持続可能な島の自然環境、生活環境の保全を応援する一環として開催されたものです。催しの性格から、通常の「しまのがっこう」ではなく研究会となりました。
屋久島の水力発電所見学などの視察や島民と交流する現地ツアーを夏頃に計画しています。
最初に、事例発表として、「屋久島の電力事情、離島の再生可能エネルギー活用」の紹介を、杉浦英世(かごしま・島交流の会事務局長)が行いました。

資料を元に、屋久島でいま行われている地域配電は各集落が水力発電所を持って電気で電燈が灯る文化生活が始まった島の歴史に由来すること、鹿児島県が屋久島CO2フリーの島づくりを進めていること、屋久島町が口永良部島で地熱発電を計画していることの説明があり、その他にも、日本各地の島の再生可能エネルギー活用の事例などが紹介されました。
続いて、千葉大学大学院教授倉阪秀史氏による講演『再生可能エネルギーの将来展望』が行われました。
倉阪氏からは、再生可能エネルギーの現状や将来展望、推進するため必要な政策や方向の具体例などをわかりやすく伝えていただけたと思います。日本各地に水車が7千8百もあって地域のエネルギー源(揚水・製粉等の動力源)となっていたお話などはとても印象的でした。
倉阪秀史氏 講演『再生可能エネルギーの将来展望』
行政と住民の協働で再エネを事業化すれば雇用も生まれるというお話は、再エネ事業にこぞって参入しようとする現在の企業数を見れば、大変説得力があるものと思います。ドイツのエネルギー協同組合の話もありましたが、屋久島の地域配電の例とも共通する部分があり、地域にそのような組合を設立しやすい制度や予算、税制(再エネを後押しする仕組み)が望まれます。
講演の後は、屋久島の電気事情や再エネ促進の具体的方法などについて、熱心な質疑応答が続けられました。
来賓の関東屋久島会会長岩川尚美氏から、屋久島の山林と水資源に想いをめぐらし、森林バイオマス活用を発展させようとご挨拶いただきました。
グループディスカッションは、「自然エネルギー活用でつくる島の産業、持続可能な地域社会」のテーマで、“自分が地域でできること”について、6つのグループに別れて話し合われました。
各グループの発表をファシリテーター役の星野氏がまとめ、倉阪氏のコメントがありました。
関心の高い人々の集まりであり、誰でもできることから始めようと、再エネに真剣に取り組む意見が多く出されました。
最後に、えぐさゆうこ氏(唄い手、ナレーター、アナウンサー、声優)による「屋久島古謡と民話語り」のミニライブが行われました。
「語り」は、薩摩藩の年貢として屋久杉を伐採するきっかけを作った泊如竹のお話でした。地元の安房でいまでも大切に語り継がれている恕竹翁の逸話は、自然と対峙しながら暮らし続ける島人の畏れや気持ちについて考えさせるものでした。
続いて、江草啓太氏(ピアニスト、作編曲家)の伴奏で、屋久島古謡「まつばんだ」の唄がありました。
「会場が癒しの空間に変身」、「まだ行ったことのない屋久島が大変身近な存在に感じられました。是非、訪れたいと思います」という感想がありましたが、研究会の最後に、屋久島のイメージを彷彿とさせる語りと唄で、参加者にリラックスしていただけたものと思います。
閉会挨拶は、橋谷勇治(市民キャビネット農都地域部会事務局)が行いました。
アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。「具体的な話が面白かった」、「もっとたくさんの人に聞いてもらいたい」など、倉阪氏の講演が大変参考になったようです。「屋久島を深く知ることができた」、「生活をスローなスタイルにしたい」、「自然エネルギー政策を早く大きく進めることが急務、住民参加のプロセスを作って」などの意見もありました。
水力発電のコストや運営についての疑問もありましたが、発電所の保守は少人数で済み本土との電気料金差はわずかということや、屋久島電工は長く屋久島の産業を牽引し雇用と地域経済を支えてきた実績があるが、世界遺産登録の後に観光が島の基幹産業となってもその役割は変わらないこと、停電と地域配電に関係があること等、事例発表時間の制約で話ができませんでした。
多方面から人が集まり、年代構成も散らばって、良い会になったと思います。ご参加の皆様と倉阪先生、えぐささん、スタッフのおかげで無事に終了できました。ありがとうございました。
参 考
○研究会式次第、講師プロフィール(PDF)
○事例発表「屋久島の電力事情、離島の再エネ活用」資料(PDF)
○倉阪氏講演「再生可能エネルギーの将来展望」資料(PDF)
○参加者アンケート結果(PDF)
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